【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
護衛たちの会話を聞いて、アナベルは彼らを意外そうに眺める。
国王と護衛の関係上、こんなにぽんぽんと会話を……まるで友人と話すかのような気軽さは良いのだろうか、と。
アナベルの疑問を感じ取ったのか、エルヴィスは両肩を上げた。
「確かに知る権利はあるが……すべては、ティオールについてからだ。まずはデュナン公爵のタウンハウスに向かう」
デュナン公爵――……レアルテキ王国に住んでいる者なら、一度は耳にしたことがある人物。
現国王、エルヴィスの従兄。社交性があり、交渉術も豊かで、彼がいなければまとまらなかった外交が多くあるとも言われている。
「……なぜ?」
キョトンとした表情を浮かべて尋ねるアナベルに、エルヴィスはそっと彼女の肩に手を置いた。
「寵姫になる前に、会ってほしいんだ」
「……デュナン公爵に?」
「そうだ。大事なことだからな」
「……よく、わからないのだけど……。きっと、陛下が言うなら、大事なことなのね」
自分がなぜ先にデュナン公爵に会う必要があるのかと不思議に思いつつも、エルヴィスの真剣なようにアナベルはこくりとうなずく。
「ティオールまであと少しだ。この場所は魔物が現れたから、もう少し進んで休もう」
エルヴィスの言葉に、休憩の準備を始めようとしていた人たちは荷物をまとめて、野宿先を探そうと歩き出した。
国王と護衛の関係上、こんなにぽんぽんと会話を……まるで友人と話すかのような気軽さは良いのだろうか、と。
アナベルの疑問を感じ取ったのか、エルヴィスは両肩を上げた。
「確かに知る権利はあるが……すべては、ティオールについてからだ。まずはデュナン公爵のタウンハウスに向かう」
デュナン公爵――……レアルテキ王国に住んでいる者なら、一度は耳にしたことがある人物。
現国王、エルヴィスの従兄。社交性があり、交渉術も豊かで、彼がいなければまとまらなかった外交が多くあるとも言われている。
「……なぜ?」
キョトンとした表情を浮かべて尋ねるアナベルに、エルヴィスはそっと彼女の肩に手を置いた。
「寵姫になる前に、会ってほしいんだ」
「……デュナン公爵に?」
「そうだ。大事なことだからな」
「……よく、わからないのだけど……。きっと、陛下が言うなら、大事なことなのね」
自分がなぜ先にデュナン公爵に会う必要があるのかと不思議に思いつつも、エルヴィスの真剣なようにアナベルはこくりとうなずく。
「ティオールまであと少しだ。この場所は魔物が現れたから、もう少し進んで休もう」
エルヴィスの言葉に、休憩の準備を始めようとしていた人たちは荷物をまとめて、野宿先を探そうと歩き出した。