【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
数時間歩き、魔物の気配がない場所で野宿の準備を始める。
あと少しで王都ティオールにつく。
そのあとどうなるのかは、わからない。
それでも、アナベルは期待と不安を混ぜ合わせたような感情に、自分の胸元に手を置いた。
「不安か?」
「……そりゃあ、ね。でも、これから起きることを思うと、楽しみでもあるわ。……ねえ、一つ、お願いあるのだけど」
「お願い?」
「あたしに、剣術を教えてくれる人を紹介してほしいの」
アナベルの真剣な表情と硬い声に、エルヴィスは目を瞠る。
「それは、なぜ?」
「剣を使える人に習ってはいたけれど、自分がどのくらいの実力なのかはわからないのよね。自分の実力を知るため……と、万が一のときを考えて、習っておいたほうが良いと思って」
エルヴィスは考えるように顎に手を置き、それから「なるほど」と小さくつぶやく。
「確かに対抗手段は多いほうが良いだろう。……では、一度アナベルの実力を教えてもらおうか」
え? と目を丸くアナベルの手を取って、旅芸人の一座から少し遠ざかる。そして、「少し待っていてくれ」と彼女を残して戻るエルヴィスを視線で追った。
戻ってきたエルヴィスは、護衛たちを連れてきた。
「ほ、本当にやるんですか、俺が?」
「アナベルの実力を見るには、一番これが手っ取り早いだろう」
「……はぁ。もう、どんな結果になっても怒らないでくださいね」
肩を落とした護衛の一人がアナベルに剣を差し出す。
彼女はそれを受け取り、彼らと剣を交互に見た。
あと少しで王都ティオールにつく。
そのあとどうなるのかは、わからない。
それでも、アナベルは期待と不安を混ぜ合わせたような感情に、自分の胸元に手を置いた。
「不安か?」
「……そりゃあ、ね。でも、これから起きることを思うと、楽しみでもあるわ。……ねえ、一つ、お願いあるのだけど」
「お願い?」
「あたしに、剣術を教えてくれる人を紹介してほしいの」
アナベルの真剣な表情と硬い声に、エルヴィスは目を瞠る。
「それは、なぜ?」
「剣を使える人に習ってはいたけれど、自分がどのくらいの実力なのかはわからないのよね。自分の実力を知るため……と、万が一のときを考えて、習っておいたほうが良いと思って」
エルヴィスは考えるように顎に手を置き、それから「なるほど」と小さくつぶやく。
「確かに対抗手段は多いほうが良いだろう。……では、一度アナベルの実力を教えてもらおうか」
え? と目を丸くアナベルの手を取って、旅芸人の一座から少し遠ざかる。そして、「少し待っていてくれ」と彼女を残して戻るエルヴィスを視線で追った。
戻ってきたエルヴィスは、護衛たちを連れてきた。
「ほ、本当にやるんですか、俺が?」
「アナベルの実力を見るには、一番これが手っ取り早いだろう」
「……はぁ。もう、どんな結果になっても怒らないでくださいね」
肩を落とした護衛の一人がアナベルに剣を差し出す。
彼女はそれを受け取り、彼らと剣を交互に見た。