【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
◆◆◆
「……ここが、王都ティオール……」
「綺麗な場所よねぇ」
翌日、早朝から歩き続けようやく辿り着いた王都、ティオール。
すでに日が暮れかかっていた。
「アナベル、これを羽織ってくれ」
エルヴィスに呼び止められて、フード付きのマントを渡されて「えっ?」と首をかしげる彼女に、エルヴィスは言葉を紡ぐ。
「きみの美しさは、周りを魅了するだろうからね」
「……それは、どうも……?」
アナベルは少し頬を赤らめて、マントを羽織る。男性用なのかアナベルには大きかったが、アドリーヌが「そのままじゃちょっとねぇ……」といろいろ手を加えてくれた。
そのおかげで大分動きやすくなり、アナベルはフードを被ったまま歩き出す。
エルヴィスと護衛の二人もマントを羽織って歩いていた。
「……陛下が歩いていても、誰も気付かないものなのね」
「それはこのマントに秘密がありまして。実はこのマントを羽織っていると、別人のように見える魔法がかかっているんです」
「えっ、魔法ってそんなこともできるの?」
「もちろん、いろいろ試行錯誤したさ」
アナベルは自分が着ているマントに視線を落としてから、周りを見てみた。自分たちを気にしている人たちは一人もいない。
「……それじゃあ、ここで一旦お別れだ。……陛下、アナベルのことを、お願いします」
「ああ」
「クレマン座長、お世話になりました。……また、会えるよね?」
「……ここが、王都ティオール……」
「綺麗な場所よねぇ」
翌日、早朝から歩き続けようやく辿り着いた王都、ティオール。
すでに日が暮れかかっていた。
「アナベル、これを羽織ってくれ」
エルヴィスに呼び止められて、フード付きのマントを渡されて「えっ?」と首をかしげる彼女に、エルヴィスは言葉を紡ぐ。
「きみの美しさは、周りを魅了するだろうからね」
「……それは、どうも……?」
アナベルは少し頬を赤らめて、マントを羽織る。男性用なのかアナベルには大きかったが、アドリーヌが「そのままじゃちょっとねぇ……」といろいろ手を加えてくれた。
そのおかげで大分動きやすくなり、アナベルはフードを被ったまま歩き出す。
エルヴィスと護衛の二人もマントを羽織って歩いていた。
「……陛下が歩いていても、誰も気付かないものなのね」
「それはこのマントに秘密がありまして。実はこのマントを羽織っていると、別人のように見える魔法がかかっているんです」
「えっ、魔法ってそんなこともできるの?」
「もちろん、いろいろ試行錯誤したさ」
アナベルは自分が着ているマントに視線を落としてから、周りを見てみた。自分たちを気にしている人たちは一人もいない。
「……それじゃあ、ここで一旦お別れだ。……陛下、アナベルのことを、お願いします」
「ああ」
「クレマン座長、お世話になりました。……また、会えるよね?」