【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「会えるさ。いや、会えなくても、俺たちは家族なんだから繋がっているよ。そうだろう、みんな?」
クレマンが後ろを振り返ると、旅芸人の仲間たちが大きくうなずいているのも、涙をこらえて微笑みを浮かべているのも見えた。
アナベルはみんなに向かって大きく手を振り、その姿が見えなくなるまで見送る。
「では、私たちもいこうか」
「……はい」
すっと手を差し出されたアナベルは、こくんとうなずいて彼の手を取った。その手が少し震えていることに気付いて、エルヴィスはきゅっと軽く力を入れて握った。
まるでアナベルを安心させるように。
弾かれたようにエルヴィスを見るアナベルに、彼は目元を細めて「行こう」と歩き出し、用意していた馬車に乗って目的地の近くまで向かう。
「王城とデュナン公爵のタウンハウスは近いんですか?」
「いや、正反対のところにある。初めてティオールにきた人は、どちらが王城かわからないらしい」
くつくつと喉を鳴らして笑うエルヴィスに、アナベルは頬に人差し指を添えて首をかしげた。
「では、間違えてデュナン公爵のタウンハウスに向かう人も多いのでは?」
「王城に向かう人は馬車に乗れば迷わずにつく。観光にきたものなら、パンフレットや住民に聞けばわかるしな……」
「王城は平民も入れるのですか?」
「一部だけな。入り口近くの公園は解放しているから」
「公園?」
クレマンが後ろを振り返ると、旅芸人の仲間たちが大きくうなずいているのも、涙をこらえて微笑みを浮かべているのも見えた。
アナベルはみんなに向かって大きく手を振り、その姿が見えなくなるまで見送る。
「では、私たちもいこうか」
「……はい」
すっと手を差し出されたアナベルは、こくんとうなずいて彼の手を取った。その手が少し震えていることに気付いて、エルヴィスはきゅっと軽く力を入れて握った。
まるでアナベルを安心させるように。
弾かれたようにエルヴィスを見るアナベルに、彼は目元を細めて「行こう」と歩き出し、用意していた馬車に乗って目的地の近くまで向かう。
「王城とデュナン公爵のタウンハウスは近いんですか?」
「いや、正反対のところにある。初めてティオールにきた人は、どちらが王城かわからないらしい」
くつくつと喉を鳴らして笑うエルヴィスに、アナベルは頬に人差し指を添えて首をかしげた。
「では、間違えてデュナン公爵のタウンハウスに向かう人も多いのでは?」
「王城に向かう人は馬車に乗れば迷わずにつく。観光にきたものなら、パンフレットや住民に聞けばわかるしな……」
「王城は平民も入れるのですか?」
「一部だけな。入り口近くの公園は解放しているから」
「公園?」