【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
2章:寵姫になるために
寵姫になるために 1話
「……とても、広いのね……?」
辺りを見渡して門から屋敷までかなり距離があることを感じたアナベルが、ぽつりと言葉をこぼす。
エルヴィスはそれを聞いて、小さく口元に弧を描き、彼女の手をぎゅっと握って視線を彼に向けさせた。
「ああ、だが大丈夫だ」
「え?」
「ほら」
なにかが近付いてくる音がした。アナベルがどこから? とキョロキョロしていると、こちらに真っ直ぐ向かってくる馬車が見える。
アナベルたちの近くで止まり、ガチャっと音を立てて馬車の扉が開いた。
「驚いた! せめて一報くらい入れろよ、エルヴィス」
「それはすまない。驚かせようと思ってな」
二人の会話は軽かった。アナベルは目を丸くしていたが、エルヴィスと会話していた男性が彼女に気付き、ハッとしたように目を見開く。
「エルヴィス、隣の女性は誰だ? ……ともかく、馬車に乗ってくれ。屋敷まで乗せるよ」
「それはありがたい。歩き疲れていたからな」
エルヴィスはアナベルを馬車に乗せ、自分も馬車に乗って屋敷の玄関まで向かった。
辺りを見渡して門から屋敷までかなり距離があることを感じたアナベルが、ぽつりと言葉をこぼす。
エルヴィスはそれを聞いて、小さく口元に弧を描き、彼女の手をぎゅっと握って視線を彼に向けさせた。
「ああ、だが大丈夫だ」
「え?」
「ほら」
なにかが近付いてくる音がした。アナベルがどこから? とキョロキョロしていると、こちらに真っ直ぐ向かってくる馬車が見える。
アナベルたちの近くで止まり、ガチャっと音を立てて馬車の扉が開いた。
「驚いた! せめて一報くらい入れろよ、エルヴィス」
「それはすまない。驚かせようと思ってな」
二人の会話は軽かった。アナベルは目を丸くしていたが、エルヴィスと会話していた男性が彼女に気付き、ハッとしたように目を見開く。
「エルヴィス、隣の女性は誰だ? ……ともかく、馬車に乗ってくれ。屋敷まで乗せるよ」
「それはありがたい。歩き疲れていたからな」
エルヴィスはアナベルを馬車に乗せ、自分も馬車に乗って屋敷の玄関まで向かった。