【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。

寵姫になるために 2話

 アナベルとエルヴィスの正面のソファに座り、背もたれに身を預けるようにして、ダヴィドは長い足を組んだ。

 面白いものを見たかのように、口角を上げる。

「それで? きみは本当にエルヴィスの寵姫(ちょうき)になるつもりなのか?」

 目元を細めて(たず)ねる彼に、アナベルは本能的に試されている、と感じた。

 自分の意図を見抜くために、鋭い眼光を向けられている――と。

 だからこそ、アナベルは不敵に笑う。

「ええ、もちろん。あたしは王妃サマに用があるからね」

 寵姫として迎えられたら、王妃であるイレインとも不自然ではなく接触できる。

 言外にそのことを伝える彼女に、ダヴィドは真摯(しんし)な表情を浮かべた。

「なるほど。確かにかなり度胸のある女性のようだ。……だが、きみは知っているのか? エルヴィス(現国王)の寵姫が――」
「謎の死を()げていることは、陛下の口からきいたわ」

 ダヴィドの言葉をさえぎるように、自身が覚悟を持ってここにきていることを示すと、彼はその覚悟を受け取り、アナベルを見つめる。

「……ふむ。きみにも王妃に対するなにかがある、ということか」
「ええ」
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