【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「エルヴィス、お前は踊り終えた彼女に、『寵姫になってほしい』と大勢の前で伝えるんだ」
ダヴィドは興奮したように立ち上がり、拳を握って力説した。
「劇的なシンデレラストーリーは、王妃の耳にも届くだろう。こちらからの宣戦布告にもなる」
アナベルはそっとエルヴィスの手を外して、ダヴィドと同じように立ち上がる。
「それはとても良い案だわ!」
そう断言した彼女に、二人は驚いたように目を見開き、それからふっと表情を綻ばせた。
「ならば、そのときは堂々たる剣舞を見られることを楽しみにしている。本気で私を惚れされるくらいの剣舞を願おう」
「あら、陛下。あなたとあたしは運命共同体。覚悟なさい、このあたしを手に入れることが、どんなことなのか!」
ぐっと腰を曲げてエルヴィスの胸元に人差し指をくっつけ、アナベルはパチンとウインクをした。それを見たダヴィドがぷはっと噴き出す。
「驚いた、きみみたいなタイプが寵姫になるのは初めてだ」
「あら、そうなの?」
「そうだよ。今までのタイプはどちらかといえば弱気な子が多かったから。というか、勝手に宮殿に送られていたんだっけ?」
「……家族に捨てられたような女性ばかりだったからな。帰る場所がないと泣きつかれて……な」
「……なるほどね、変える場所がなければ、勝手に朽ちろってことかい……」
貴族の考え方を想像して、背筋が寒くなり自分を抱きしめるように二の腕を掴む。
ダヴィドは興奮したように立ち上がり、拳を握って力説した。
「劇的なシンデレラストーリーは、王妃の耳にも届くだろう。こちらからの宣戦布告にもなる」
アナベルはそっとエルヴィスの手を外して、ダヴィドと同じように立ち上がる。
「それはとても良い案だわ!」
そう断言した彼女に、二人は驚いたように目を見開き、それからふっと表情を綻ばせた。
「ならば、そのときは堂々たる剣舞を見られることを楽しみにしている。本気で私を惚れされるくらいの剣舞を願おう」
「あら、陛下。あなたとあたしは運命共同体。覚悟なさい、このあたしを手に入れることが、どんなことなのか!」
ぐっと腰を曲げてエルヴィスの胸元に人差し指をくっつけ、アナベルはパチンとウインクをした。それを見たダヴィドがぷはっと噴き出す。
「驚いた、きみみたいなタイプが寵姫になるのは初めてだ」
「あら、そうなの?」
「そうだよ。今までのタイプはどちらかといえば弱気な子が多かったから。というか、勝手に宮殿に送られていたんだっけ?」
「……家族に捨てられたような女性ばかりだったからな。帰る場所がないと泣きつかれて……な」
「……なるほどね、変える場所がなければ、勝手に朽ちろってことかい……」
貴族の考え方を想像して、背筋が寒くなり自分を抱きしめるように二の腕を掴む。