【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。

寵姫になるために 3話

 アナベルは眉をぴくりと動かした。そして、腕を組んでゆっくりと息を吐く。

「王妃サマは、少女しかメイドにしないの?」
「ああ。イレインは年齢の割に肌に艶があり、憧れる人が多いんだ。王妃宮でのことは外部に漏らさないように、徹底的でもある」

 ダヴィドが両肩を上げて、やれやれとばかりに髪をかき上げた。

「自分の傍に置くのは、イレインよりも老けているように見えるメイドだけどね。あと、わいけれど容姿はあまり良くない子。……どう考えても引き立て役だろうね」

 その状況を想像して、アナベルはうわぁ、と眉根を寄せる。

 自分よりも美しい人を、徹底的に排除しているのかもしれない。

「きみも狙われるよ、きっとね。王妃はきみのように美しい容姿を、自由にはさせないだろう」

 くつくつと喉を鳴らして笑うダヴィドに、エルヴィスが目元を細めた。

 そっとアナベルの手を取り、きゅっと握る。

 彼女の中の不安を払拭(ふっしょく)させるかのように。

 彼と手を繋ぐことで、不安は消えていく。そのことを伝えるように、アナベルはエルヴィスに熱のこもった視線を送った。
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