【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「え、クレマン? あいつらがこっち来てるの? この王都に?」
あまりにも意外そうに言われて、アナベルは怪訝そうに彼を見た。
「うちの座長を知っているのかい?」
国王陛下であるエルヴィスとも面識があり、公爵であるダヴィドとも面識があるとなると、一座の座長、クレマンの正体が気になってしまう。
「クレマンはもともと、騎士団に所属していたんだよ」
エルヴィスが穏やかな声で教えてくれた。
(――え?)
だが、考えてみれば納得できる。
剣を振るうところを見たことがあるが、確かに強かった、と思う。
一度だけしか見たことがないから、遠い記憶を手繰り寄せてアナベルは目を閉じた。
「……騎士団にいたクレマンが、なぜ旅芸人に……?」
「ミシェルの一件が原因だろうな」
ミシェルの名を聞いて、目をカッと見開くアナベルに、エルヴィスはなぜクレマンが旅芸人になったかを、簡単に話す。
その理由を知り、アナベルはわなわなと肩を震わせた。
「王妃サマには、人の心がないの?」
「ないから、できるんじゃないか?」
「……教えてくれてありがとう。これは、ミシェルさんの復讐にもなるかしらね……」
ぐっと拳を握って、心の奥底にくすぶらせていた復讐心を表に出すアナベルに、二人は大きくうなずく。
「……さて、まずはパーティーの準備だ。クレマンたちも呼んで、盛大にしようじゃないか」
ニヤリと口角を上げるダヴィドに、アナベルとエルヴィスは顔を見合わせて、にっと口角を上げた。
あまりにも意外そうに言われて、アナベルは怪訝そうに彼を見た。
「うちの座長を知っているのかい?」
国王陛下であるエルヴィスとも面識があり、公爵であるダヴィドとも面識があるとなると、一座の座長、クレマンの正体が気になってしまう。
「クレマンはもともと、騎士団に所属していたんだよ」
エルヴィスが穏やかな声で教えてくれた。
(――え?)
だが、考えてみれば納得できる。
剣を振るうところを見たことがあるが、確かに強かった、と思う。
一度だけしか見たことがないから、遠い記憶を手繰り寄せてアナベルは目を閉じた。
「……騎士団にいたクレマンが、なぜ旅芸人に……?」
「ミシェルの一件が原因だろうな」
ミシェルの名を聞いて、目をカッと見開くアナベルに、エルヴィスはなぜクレマンが旅芸人になったかを、簡単に話す。
その理由を知り、アナベルはわなわなと肩を震わせた。
「王妃サマには、人の心がないの?」
「ないから、できるんじゃないか?」
「……教えてくれてありがとう。これは、ミシェルさんの復讐にもなるかしらね……」
ぐっと拳を握って、心の奥底にくすぶらせていた復讐心を表に出すアナベルに、二人は大きくうなずく。
「……さて、まずはパーティーの準備だ。クレマンたちも呼んで、盛大にしようじゃないか」
ニヤリと口角を上げるダヴィドに、アナベルとエルヴィスは顔を見合わせて、にっと口角を上げた。