【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
寵姫になるために 5話
ざわざわと人々の声が聞こえる。
アナベルは深呼吸を繰り返して、隣で硬い表情を浮かべているクレマンに、小さな声で尋ねた。
「緊張してる?」
「まぁ、それなりに。デュナン公爵のところで芸を見せるなんて、さ。考えたこともなかったからなぁ……」
クレマンはしみじみと、感慨深そうに会場を見渡す。
アナベルたちの出番はまだ先だ。
会場内は和気あいあいと賑やかであり、いかにも高そうな宝石やドレスを身にまとう女性たちや、シャンパングラスを片手に話し込んでいる男性たちが良く見える。
「人生なにが起きるか、わかったもんじゃあないわねぇ……」
「本当にな……」
アナベルとクレマンがしみじみと話していると、ダヴィドが声をかけてきた。
「やぁ、お二人さん。どうだい、このパーティー会場は?」
「デュナン公爵、改めて、この素晴らしいパーティーに我が一座をお招きいただき、感謝しております」
ダヴィドが「楽にして」と軽く手を振る。
「挨拶回りがやっと終わったからね。ちょっと休憩にきたんだ。きみたちの様子を見がてら、ね」
パチンとウインクを一つ。
アナベルは口角を上げる。クレマンもパーティー会場を見渡してから、ダヴィドに微笑みを見せた。
不敵な笑みだ。この場で芸を披露できることに、喜びを感じている表情。
「……うーん、さすが。クレマン率いる旅芸人たちは、良い顔をしている」
「ありがとうございます。自慢の仲間です」
クレマンは心底嬉しそうに表情を明るくし、アナベルはその言葉にほんのりと頬を赤くさせた。自分たちのことを『自慢の仲間』だときっぱり断言してくれたことに、身体が震えるくらいの歓喜を覚えた。
アナベルは深呼吸を繰り返して、隣で硬い表情を浮かべているクレマンに、小さな声で尋ねた。
「緊張してる?」
「まぁ、それなりに。デュナン公爵のところで芸を見せるなんて、さ。考えたこともなかったからなぁ……」
クレマンはしみじみと、感慨深そうに会場を見渡す。
アナベルたちの出番はまだ先だ。
会場内は和気あいあいと賑やかであり、いかにも高そうな宝石やドレスを身にまとう女性たちや、シャンパングラスを片手に話し込んでいる男性たちが良く見える。
「人生なにが起きるか、わかったもんじゃあないわねぇ……」
「本当にな……」
アナベルとクレマンがしみじみと話していると、ダヴィドが声をかけてきた。
「やぁ、お二人さん。どうだい、このパーティー会場は?」
「デュナン公爵、改めて、この素晴らしいパーティーに我が一座をお招きいただき、感謝しております」
ダヴィドが「楽にして」と軽く手を振る。
「挨拶回りがやっと終わったからね。ちょっと休憩にきたんだ。きみたちの様子を見がてら、ね」
パチンとウインクを一つ。
アナベルは口角を上げる。クレマンもパーティー会場を見渡してから、ダヴィドに微笑みを見せた。
不敵な笑みだ。この場で芸を披露できることに、喜びを感じている表情。
「……うーん、さすが。クレマン率いる旅芸人たちは、良い顔をしている」
「ありがとうございます。自慢の仲間です」
クレマンは心底嬉しそうに表情を明るくし、アナベルはその言葉にほんのりと頬を赤くさせた。自分たちのことを『自慢の仲間』だときっぱり断言してくれたことに、身体が震えるくらいの歓喜を覚えた。