【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
寵姫になるために 7話
「燃える?」
「ええ。だって、それをクリアすれば、王妃サマに近付けるんでしょ?」
アナベルはスタスタと歩き、くるっとエルヴィスに身体を向けて大きく腕を広げる。
「――あたしの復讐が、幕を上げるのよ」
ギラギラとした炎を宿した瞳を見て、エルヴィスは言葉を呑む。まぶしいものを見たかのように目を細めて、彼女に近付いた。
「……そうだな。とりあえず、きみの住む場所に案内しよう。その恰好では、寒いだろう?」
エルヴィスは上着を脱いで、ふわりとアナベルにかけた。
彼女は彼の温もりが残っている上着に袖を通し、ぶかぶかな上着を見て「あったかーい」と頬を染めて笑う。
「さぁ、行こうか。私のパートナー」
差し出された手を取り、アナベルたちは用意されていた馬車に向かった。
念のためにと二台用意してあり、エルヴィスが魔法を使った。どうやら霧を出しているようで不思議そうに霧を眺めるアナベルは彼へ視線を移す。
「魔法ってそんなこともできるのね」
「ああ。便利だろ?」
「……あたしも少し、いいかしら?」
アナベルはそっと幻想の魔法を使った。
「ちょっとした賭けではあるのだけど……」
万が一、アナベルたちのことを追ってきた人がいる場合を考え、二台の馬車それぞれに人が乗ったように見せる幻想の魔法だ。
「ええ。だって、それをクリアすれば、王妃サマに近付けるんでしょ?」
アナベルはスタスタと歩き、くるっとエルヴィスに身体を向けて大きく腕を広げる。
「――あたしの復讐が、幕を上げるのよ」
ギラギラとした炎を宿した瞳を見て、エルヴィスは言葉を呑む。まぶしいものを見たかのように目を細めて、彼女に近付いた。
「……そうだな。とりあえず、きみの住む場所に案内しよう。その恰好では、寒いだろう?」
エルヴィスは上着を脱いで、ふわりとアナベルにかけた。
彼女は彼の温もりが残っている上着に袖を通し、ぶかぶかな上着を見て「あったかーい」と頬を染めて笑う。
「さぁ、行こうか。私のパートナー」
差し出された手を取り、アナベルたちは用意されていた馬車に向かった。
念のためにと二台用意してあり、エルヴィスが魔法を使った。どうやら霧を出しているようで不思議そうに霧を眺めるアナベルは彼へ視線を移す。
「魔法ってそんなこともできるのね」
「ああ。便利だろ?」
「……あたしも少し、いいかしら?」
アナベルはそっと幻想の魔法を使った。
「ちょっとした賭けではあるのだけど……」
万が一、アナベルたちのことを追ってきた人がいる場合を考え、二台の馬車それぞれに人が乗ったように見せる幻想の魔法だ。