Will you marry me?
これからの話し合いと言われれば、きっと条件面などを決めるはずだ。窓の外を見つつ桜庭さんに問いかける。

「いえ、あっ。もう到着しますよ」

それと同時に目の前の大きな門が開き、そこへ車は入っていく。我が家の旅館とは違う、南国のような木々が生い茂り、鮮やかな花も咲いている。

「きれい……」
つい零れ落ちてしまった言葉に、桜庭さんは何も言わずにいてくれた。
少し走ると目の前に大きな真っ白のコンクリートの建物が見えた。
「ここはレストランか何かですか?」
あれほどの人ならば、私なんかと会うにはこう言ったプライバシーが守られた場所の必要がある。
ましてや内容が内容だ。
返事を聞く前に車が停まり、運転手がドアを開けてくれたので、慌てて降りると建物を見上げた。
見る限り三階建てのようで、大きなガラス窓に、モダンなブラインド、そして目の前にはブラウンの大きな玄関の扉が見えた。
桜庭さんは、カードをかざしてセキュリティを解除し扉を開けて私を促す。
「どうぞ」
「失礼いたします」
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