Will you marry me?
何百人もの建築士やインテリアコーディネーターをはじめとする社員を抱え、営業や事務などを含めたら数千人を超える会社のトップ。そして、自らデザインも行う。

とんでもない人だと彼の眠る姿を見て理解した。そしてここが彼の自宅と知り、少し緊張する。
「この家のものは好きに使っていただいて構いません。本もお好きならばここに」

まるで隠し扉のようなそこを開けると、本に囲まれた部屋があった。一人掛けのソファが二つと小さなテーブル。

隠れ家のようなその部屋に、吸い込まれそうになる。

「ここも向井先生が設計を?」

「ええ。インテリアにもこだわった家です」
温かみがある雰囲気が、とても落ち着く。そしてなぜかとてもリラックスできる気がした。
「お呼びだてしたのに、本当に申し訳ありません」
桜庭さんはそう言って、仕事へと出かけて行ってしまった。
彼も忙しい中、私を連れてきてくれたのだろう。そして私は、とりあえず彼が起きるのを待つだけだ。

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