Will you marry me?
何かが頬を撫でるような気がして、それをそっと寝ぼけながら握る。

「うーん、もう少し……」

「俺は構わないが、腹減らないか?」

確かに空腹を感じるのも事実だが、温かいこの感触を……。

温かい感触? え?

そこでようやく頭が覚醒していく。嘘でしょ?
自分の失態に気づき、目を開けるのが怖い。

眠っていた彼を待つはずの私が、どうして目を閉じているのだ。背筋が凍りそうなほど冷たくなり、冷汗が零れそうになる。

「申し訳ありません!」
起き上がって謝罪をしようとしたが、なぜか起き上がることができなくて呆然としてしまう。
「おはよう
「おはようございます……?」

習性とは恐ろしいもので、挨拶をされれば返してしまう自分を呪う。何をのんきにおはようなどと言っているのだ。
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