Will you marry me?
「今は忙しいって言ったんだろ?」
「ああ、だからこそだとさ」
あの両親なら言いそうなことだと思う。政界という場所に身を置き、社交の重要性をよく理解している両親だからこそ、早く結婚をしろとここ数年言われ続けている。
「俺みたいなやつが真面目に付き合えると思うか?」
「まあ、思わないな」
秘書といいながら、高校からずっと俺をそばで見ている紘一は、ため息交じりにきっぱりと言い切った。
「仕事をしだすと、約束は忘れて集中するし、連絡ひとつしないしな。まあ、周りの女性たちも大概だったとは思うけど」
苦笑しつつ紘一はそう言うと、釣書を手にした
今までこの顔とステイタスに、寄ってくる女性はたくさんいたし、それなりに仕事の一部のように付き合ったこともある。しかし、結婚なんてして毎日誰かの機嫌を取らなければいけないなんてまっぴらだ。
「いつも通り、ご両親にはお断りしておいた。でもこの見合いもあり得ないな」
「どういうことだ?」
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