Will you marry me?
※※

「菜々、今の俺の言葉の意味……」

問いかけを聞いていたのだが、その時私のお腹がグーと音を立てる。嘘でしょ! こんな時に。恥ずかしい。
バタバタとしていたこともあり、朝から何も食べていなかったとはいえ、なんというタイミングだ。

「下で何か食べようか。菜々の好きなものは?」
先生は呆れるようなそぶりはなく、そう言うと私に笑顔を向ける。
どうして私なんかにこんな笑みを向けるのかわからない。家政婦として扱うのなら、「食事を作れ」とでも命令してもらったほうがまだましだ。いちいち優しく私の意志なんて確認する必要もないし、こんな扱いをされることには慣れていない。
答えず表情を崩さない私を気にする素振りは一切なく、当たり前のように手を引き彼は歩き出した。

「あの、どうしてこんなことを」
いきなり手を握られて、抗議の声をあげてしまう。
「菜々と家族として楽しく過ごしたい、そう言わなかった?」
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