Will you marry me?
「菜々にあそこに花を活けて欲しいんだけど、そのうちお願いしていい? そしてたまにお茶をたてて欲しい」
それぐらいもちろん問題ない。というより、お茶は私の唯一の趣味であり、心の安らぎだ。それをさせてくれるなんてありがたい。
「はい」
そう答えると彼は私を手招きする。拒否する理由もないしリビングに戻ると、彼はキッチンの中へと入っていく。
「俺、パスタぐらいしかできないけどいい?」
「え? 先生が作るんですか?」
家政婦が必要で結婚をするのなら、もちろん私が作るべきだと聞き返す。
「菜々、理由はどうであれ結婚をするから、先生はやめてくれる?」
確かに妻が夫を先生とは呼ばないだろう。
「俺の名前は知ってる?」
いろいろ彼のことは調べたし、もちろん建築家としても知っている。
「はい」
「じゃあ、いい。パスタ作れるとは言ったけど、味には自信がないから、菜々が一緒に作ってくれると嬉しい」
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