Will you marry me?
出来上がったパスタを前に、テーブルを挟んで向かい合って私たちは座った。
「いただきます」
一緒に作ったパスタはとても美味しくて、流れるジャズがゆったりとした雰囲気を作っている。
「それで」
少し食べ進めた後、フォークとスプーンを置いて謙太郎さんが私をまっすぐに見た。
今日、初めて見る真剣な瞳に、私もごくりと唾を呑み込んで言葉を待つ。
「結婚してくれるか?」
単刀直入な言葉に、瞬きも忘れて彼の視線を外せない。
「本当に妹ではなく私でいいんですか?」
「ああ。菜々がいい」
「沙月亭の仕事も受ける。父上には、もう菜々に何も言わせない」
私の立場も考えてくれている謙太郎さんに、私がこれ以上何を望むというのだろう。
「菜々が、どうしても無理というのなら期限を決めよう。一年経って無理だと思ったら、離婚をしてもいい。その時の契約書を作ってもいい。もちろん菜々には不利にならない条件にする」
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