ストーカー〜忍び寄る影〜
「おい!梨花、早く鍵開けてくれよ」
「わかってるよ!でも、なかなか見つからないんだもん」
時刻は午後9時を回ったところ。
静かな住宅街に二人の影が並んだ。
薄暗い外灯を頼りに、間口の狭いバッグの中に手を入れ、ごそごそと捜し当てたが、なかなかお目当ての鍵が出てこない。
「あれっ、どこだろう?鍵がない。おかしいなぁ」
「おーい、ちゃんと探せよ!いい加減に早くしろって!」
「――ッ。わかってるって!そんなに急かさないでよ。あたしだって、今必死で探してるんだから」
両手を荷物で封じられた和也が苛々しながら後ろから声を掛けるものだから、梨花に焦りが増していく。