ストーカー〜忍び寄る影〜
「本当に早くしろって!いつまで待たせる気だよ」
和也の不機嫌そうな声色が、梨花の背中を容赦なく襲ってくる。
「もうっ。ちょっと待って!
そんなに急かさないで、ってさっきから言ってるでしょ!」
「ごちゃごちゃ言ってないで、いいから早く開けろよ!」
今にも一触即発か?というようなやり取りに、梨花と和也との間にはピリピリとした空気が宿っていた。
そこまでイライラしなくたっていいのに。
たかが鍵くらいで、煩いんだから!
梨花は逆ギレしそうになっていた。
「あっ、あったー!」
ようやくお目当ての鍵を見つけた梨花は、それを鍵穴に差し込んでくるりと回転させた。