桜の下で僕の歌声を君に

「ねえ夢輝《ゆめき》、夢ってある?」

心地よい春の日の下校中、幼馴染の一ノ瀬結桜《ゆお》は突然聞いてきた。

「あるように見える?何もかもが平凡で、なにかに長けた才能もないのに。」

そう、僕...天沢夢輝は勉強も運動も平凡で趣味もない。加えて交流も苦手なため、友達もいない。毎日を適当に生きている。

こんな僕が夢を持っているわけがない。そんなこと結桜は知ってるはずだ。

頭にはてなを浮かべていると結桜は言った。

「まあ予想はしてた。けど一応確認をしたかったんだ。」

「確認?」

「一緒に歌手にならない?」

「...は?」

俺は思わず固まってしまった。
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