廃墟に居ないでよ。

勢い。

「勢いでさやから離れて、1人ずつピデオを撮ることにしたけど大丈夫かな?さや。」
仕返しにしては流石にやり過ぎだったかも。
そう。反省していたら、
突然、ぴちょんと遠くの雫が落ちる音がした。
私は段々と今の状態を理解する。
「私、今。1人で廃墟で歩いているんだ。」
血の気が引いていく。
2人だったら、心の余裕が少しはあったのに、1人になった途端になくなる。
周りが静かに感じた。
ぴちょん。
また聞こえた。ライトをあたりに照らす。
「な、なに?」
なんで水溜まりの音がするの?っとふと疑問に思う。
「さやのところまで戻ろうかな。」
踵を返そうする。
ぴちゃん。ぴちゃん。
さっきより音が近い。今ならわかる。この音足音だ。
「もしかして近づいてる?う、嘘でしょ」
私が走ってきた方から音がする。ライトでテラスが何も見えない。
ぴちゃん。ぴちゃん。
明らかにヒールの音じゃない。さやじゃない。
近づいてくる。
ぴちゃん。ぴちゃん。
「さ、さや、たすけてぇ」
怖くて、しゃがんだ。
ぴちゃん。ぴちゃん。
「は、走ってる。」
もう3〜5mにいる気がする。
ぴちゃん。ぴちゃん。ぴちゃん。ぴちゃん。
「やだ。」

音が止まった。
私は目を開き、ゆっくりと立ち上がった。
「なんだったの。」
ライトを強にし、辺りを見渡すが何もいなかった。









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