星空ヘッジホッグ

第5話 きらきら

〇天体学園(夕)

1-A教室。

潤、満面の笑み。

潤「2人には天文部に入っていただきます!!」

ゆり、凜々花、ななみ、きょとんとしている。

ななみ「それってどういうこと?」

潤「言葉通り!2人には天文部に入ってもらうよ!」

ななみ「答えになってないんですけど」

潤「類は友を呼ぶ!!」

ゆり「類は友を呼ぶ!!……楽しそうですけど、師匠たちも入ってるんですか?」

潤「いいや」

ななみ「訳わかんないけど。入ってない部の勧誘?」

潤「天文部は今年廃部になったんだ。けど部員がいればすぐに復活できる。
  2人だけの部活。ロマンチックで青春で清涼飲料水だろ??」

ななみ「たしかに……。ゆりちゃんと2人きり。魅力的かも」

ゆり「けど、師匠と凜々花さんたちが入ればすぐ復活してたんじゃないですか」

潤「それはそうなんだけどさ、50人も100人もいる天文部って変じゃない?」

ゆり、潤のことをまぶしそう見る。

ななみ「変かどうかはわからないけど」

ななみ、笑顔でゆりの方をみる。

ななみ「私はゆりちゃんがやるならやる!」

ゆり「私、全然、天文部興味ないけどいいのかな。数学も物理も苦手だし」

ななみ「天文部って数学的素養がいるの……??」

ゆり、ななみ、うるうるしながら手を取りあう。

ゆり、ななみ「やっぱり難しいかなぁ」

潤「厳密にはいるのだろうけど!そこまで求められないよ!緩いから!!」

ゆり、ななみ、笑顔で潤の方を見る。

ゆり、ななみ「じゃあ、やります」

ゆり、ななみ、ニコニコ。

〇凜々花宅への帰り道(夕)

田んぼ道。キラキラ光る水面。

遠くに見える山並み。

一本道には潤と凜々花しか歩いていない。

潤、凜々花、手を繋いでいる。

潤「ゆりちゃん、入らないかと思った。最初にもめてたみたいに」

凜々花「あー、保護者同伴じゃないと遊べないみたいな?」

潤「そう。いい具合にななみちゃんの影響受けてる。いいコンビだ」

凜々花「いいの?あの子たちに押し付けてしまって」

潤「俺たちじゃできないだろ」

凜々花「そう?私たちでやればよくない?」

潤「入部希望者を断るわけにもいかないだろ」

凜々花「自信満々ね。自分のことをそんなに人気者だと思ってる?」

潤「俺じゃないよ。こんな美人がほっとかれるわけないだろ」

凜々花「はいはい」

潤「あいつが好きだったのは、さびれた天文部だから」

凜々花「そうね」

凜々花、潤を見上げる。

凜々花「わたしたちの好きだった、ね」

潤「そうだな」

潤、凜々花、歩きだす。

辺りは暗くなりはじめている。

山並みの上には一番星が光る。

〇ゆり家(夜)

満点の星空の下にゆりの家。

部屋は相変わらず片付いている。

パジャマ姿のゆり。

机に向かっているがノートは白紙。

頭の上には?マーク。

スマホの通知音。

画面にはななみのアイコンにメッセージ。

ななみアイコン「天文部たのしみ!!!!!」

ゆり、メッセージを返す。

ゆりアイコン「ね!たのしみ~」

すぐ既読がつく。

ななみアイコン「いっしょでうれしい!!!!!」

ななみアイコン「今日はもう寝るね。おやすみ!!」

ゆり、すぐ返信。

ゆり「おやすみ~」

既読はつかない。

ゆりM「ななみちゃん、気をつかってくれてるみたい。優しい」

ゆり、スマホをぎゅっとして嬉しそう。

机の上において、またノートに向き合う。

頭のうえに?マークが並ぶ。

ゆりM「無理だ。今日は寝よう」

ゆり、ベッドに転がる。

ゆり「友達ともうまくいきそうだし。部活まで始めちゃうなんて。
   今の私ってもしかして順調なのでは?」

ゆり、うふふと嬉しそうな顔で眠りにつく。

ゆりの家の上には一段と輝く星空。
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