美形義兄×5! ~人間不信な姫の溺愛生活~
3階の窓から入るの無理なので、渡された鍵でドアから入る。
手を洗ってリビングに入ると、白色の髪が視界に映った。
・・・鈴兄?
たしかに鈴兄にGPS付けられてたけど・・・心配させたんだろうか。
とりあえず鈴兄を運んでもう一度お風呂に入ろう。
喰乃の家からこの家まで遠いし、着替えないとな。
まぁ、その前に鈴兄にはちゃんとベッドで寝むってもらわなければ。
顔にボタンが当たったら痛いかなと考え、ジャケットを脱いで椅子に掛ける。
テーブルに突っ伏して寝ている鈴兄の椅子をそっとひいて横抱きにした。
鈴兄の部屋は2階の突き当り。
揺らさないように階段を上って、奥までゆっくり歩く。
「・・・ん」
鈴兄を横抱きにしながらなんとか扉を開け、鈴兄の部屋に入った。シンプルに白で整えられている広い部屋。
右側のカーテンを開けるとベッドがあって、そこにそっと鈴兄を下ろした。
「・・・寝顔はあどけない」
いつも胡散臭い笑顔を浮かべてるのに、と心の中で呟く。
「・・・おやすみなさい」
スッと頬を撫で、カーテンを開けて寝室から出る。
そのままドアに向かおうとすると、気配が近づいてきた。
カーテンの向こうから伸びてきた手が私の手首をつかむ。
そのまま引っ張られ、私は寝室に逆戻りだ。
「・・・逃げないんだね」
「・・・訊きたいコトがあるんでしょ」
GPSをつけるくらい、訊きたいことが。
「ふふ・・・ちょうどいいや」
一度離した手を見つめ、大人っぽく笑う鈴兄は、また私の手首をつかんでベッドに座らせた。
となりに鈴兄が座り、手が重なる。
「質問してもいい、ね?」
鈴兄に訊かれて、無言でうなずく。
「雫宮はなにをしに行ってるの」
「・・・遊びに」
「・・・遊び、ね・・・今日は?」
「今日は・・・湧いたネズミを狩りに」
まちがったコトは言ってない・・・はず。
「じゃあ次。雫宮と2人は不良?」
「・・・最終論だと、その通り。あの2人は生粋の不良。私のポジションは不良たちの姫」
総長や副総長と言った特別な位はない。
存在の名前が姫なだけ。
「そっか・・・あとは雫宮が言ってるグループは・・・」
「ストップ」
次々と踏み込んでくる鈴兄に思わずストップをかける。
「これ以上は答えられない。でも・・・」
「ん?でも?」
「どうしても知りたいなら私と30秒以上戦って」
「・・・30秒?」
これは、ヴィラーナに入るためのテスト。
30秒以上私と戦うか、30秒以内に私を倒すか。
これができたらヴィラーナに入るコトができる。
まぁ、合格は100人に2~3人だけど。
「私に勝つか、30秒以上戦えたらヴィラーナのコト教える。アジトの見学も許可する」
「いいの?じゃあ移動しよ」
パジャマ姿の鈴兄だが、私たちはどこかへ移動した。
                                                                                                                                                                                                                                        
「ここは」
「道場。祖父が剣道好きでさ」
連れてこられたのは学校にあるような道場。
「ここでやろう」
「・・・ん」
私は鈴兄から離れて立ち、礼をする。
喧嘩で例はしないけど、今回は条件を掛けた特例だ。
「じゃぁ行くよ」
タイマーを操作し、鈴兄はゆっくりと動き始めた。
そして私から動き出そうとしないコトを悟ったのか、ニッコリ笑った。
その瞬間、床が蹴られてキョリが縮まる。
そんな鈴兄に対し私は常に半歩しか動かず、攻撃をかわしながらその体を持ち上げた。
「・・・え?」
軽々と女子()に持ち上げられた男子(鈴兄)は驚きを隠そうとしない。
そのまま私は鈴兄を鈴兄を上に投げて、落ちてきたタイミングで腕を後ろに拘束した。
「・・・さて、今から5秒あげるから逃げて。ただし、私は戦い経験ありだから拘束するのも片手だけ」
ごー、よーん、さーん、・・・と声に出して数える。
腕を引っ張ったりひねったりしている鈴兄だけど、拘束から逃げ出すコトはできなかった。
「いーち、ぜーろ」
カウントダウンを終え、私はパッと腕を離した。
突然のコトによろめく鈴兄だけど、なんとか体勢を保ったらしい。
「負けたな・・・じゃあもう一回俺の部屋来て?雫宮のコトは訊いていいでしょ?」
リビングで話すという選択肢はないのかと考える。
でも、なにかあっても私のほうが強いし、大丈夫か。
そう思って、鈴兄の自室にもう一回行ったんだけど。
・・・これってどーゆー状況?
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