美形義兄×5! ~人間不信な姫の溺愛生活~

めあて:義妹ちゃんを躾ける 〈side 葦零〉

僕に新しくできた義妹ちゃん・雫宮(しずく)
オールマイティ無表情美少女として学園内で1番有名とされる女の子。
可愛くて、色を失った瞳の奥には希望なんてない。
悲しい子なんだな、というのが第一印象。
自己紹介も無駄に話さず、名前を言っただけ。
それだけで僕の躾け欲は湧き上がる。
続いて雫宮の友達らしき男が2人来る。
無頓着で人間不信らしい雫宮に友達がいるとは驚きだ、と思いながら見た2人の顔は雫宮と並んでも違和感がないくらい整っていて。
この2人に負けるかもしれない。
そんな焦りがこみあげてきて、僕はわざと余裕っぽい態度でいた。
関西弁で話す男は金髪をしている。
染めたようには見えない金髪のオールバックに森林のように深い緑の瞳。
メガネの執事系の男はミルクティー色の長髪をしていた。
ふわふわとしている髪は肩の下で緩く結ばれており、深海のように深い青の瞳。
その2人に挟まれて少しだけ笑った雫宮はというと・・・。
白っぽい銀髪っぽい金髪のハーフアップにオッドアイ(両目の色が違う)の鮮血のような赤と、藍が混ざった蜂蜜色の瞳。
なんて絵になる光景だろう。
そのあと何故か喧嘩を始めた2人は雫宮に殴られ、眼鏡は喜びながら帰っていった。
僕の躾け欲はどんどん積み重なる。
雫宮に冷たく接しられ、僕はもう我慢ができなくなった。
静かに座り、窓の外を見ている雫宮の背後に、シートベルトを外して近寄った時、雫宮は振り返ってしまった。
しかも気配だけでなく誰か特定できるのか、「葦零さんですか」と言いながら。
あーあ、驚かせて後ろから抱きしめるはずだったのになぁ・・・。
「雫宮って好きな人いる~?ってか彼氏いる?」
「好きな人・・・」
雫宮は分かりやすく反応する。
一瞬焦ったけど、それは「好きな人がいる」というような反応ではなかった。
「・・・好きな人なんて必要ありません」
と少し悲しそうに言い、雫宮はもう一度窓の外に視線を移した。
そんな雫宮にこっちを見てもらうため、僕は雫宮の華奢な体に抱き着いた。
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