夏の思い出

新学期

 あの日に感じた愛は二度と忘れられない思い出。忘れない。忘れたくはない。私はまたあの頃に戻って見たい。あの時間を取り戻して永遠にそこにいたかった。
 私は君を止められなかった。もしも、私が君を止めていたら君はまだ私といてくれたのかな?

 窓から通された光が私の顔に当たる。

『もう朝か。』 私はそう呟いた。

ベッドからまだ寝たがっているだるい体を起き上がらせて、新しい制服に着替えてから昨日用意したバッグを肩に担いだ。中学校を卒業し、今日から高校生となる。この新しい制服は前着ていた制服と比べ、スカートが薄い灰色をしていて膝よりも上の短い長さ。前のは、紺色で長かった。それに、リボンではなくネクタイを使うことになっている。そのネクタイは水色をしていて、Tシャツ上に着ているブレザーは紺色をしていて、『佐藤春美』と私の名前が書かれた名札を付けられてある。前の制服か今の制服のどれかを選ぶとしたら、今着ている制服を選ぶと思う。こっちの方が可愛くって大人しい色をしているし、水色は私の好きな色だからかな。クローゼットから白くって膝までくる長い靴下を取り出し、ベッドに座りながら履いた。化粧台前に立って、ブラシを手に取り、去年よりも長くなっている黒髪を整う。準備を整のってから自家の階段を下りた。卵やコーヒーの匂いが台所からしてきた。『おはよう、ハルちゃん。』『おはよー、おかぁさん。』と、私は母上に語った。『あらまぁー、なんて可愛い娘なんだろう。』私の方を見ながら彼女はそう言い、私の顔が熱く感じ始めた。『あら、照れてるじゃない。真っ赤だよハルちゃん。』と母上が一笑をして言った。手を自分のほっぺに当てて熱さを感じた。『照れていないよ。』と言いながら私はテーブルに座る。『大きくなってるな、ハル。』隣の椅子に座っていた父上が笑顔で私の方を見て言った。『ありがとう。』と真っ赤な顔のまま父上に感謝した。『ちゃんと食べて、今日頑張るんだよ。』と母上が言って、私の前に麦茶の入ったコップ、卵とハムが入ったサンドイッチとコンやキャベツ、にんじんやトマトが入った皿が差し出されていた。私の大好物の物ばっかりであった。『いただきます。』と私が言ってから食べ始めた。『どう、美味しいかな?塩とか足りなくない?』と母上が語った後私はサラダを飲み込み、『いいえ、とっても美味しいですよ。』と答えた。彼女はいつもの明るい笑顔をして、コーヒー、みそ汁とご飯、魚を父上に差し出した。

食べ終わって、『ごちそうさまでした。』と言った後台所から出て靴に履き替えた。『ハルちゃんちょっと待って、カバンを取りに行くから。』と母上が急ぎながら言った。私は『まだ時間あるから急がなくっていいよ。』と彼女に言った。台所からは『頑張ってこいよ、ハル。』と父が台所から顔を出して言った。『カバン合ったわ。行こう。』と母上がハイヒールを履きながら言った。私は家のドアを開き、台所の方に『行ってきます。』て言って出た。母上も同じく言い、家から出て行った。『高校初日なのにごめんね。』と理由のない謝りを母上がしてきた。『謝らないで、かぁさんは何も悪くないから。』とちゃんと彼女の方を見て伝えてあげる。『なんて優しい娘なんだ。』と母上の目から涙が出てきそうな様子だ。『行こう。』と彼女にいい、私は駅まで歩き始めた。その隣には写真や動画を撮影していた母上が携帯を持ちながら歩いている。

駅に着いた時チケットを買い、電車を待ちながら立っているまま母上と話していた。

電車が着いた時にその中に入り、周りを見回しながら席を探したが空いている席が見当たらなかった。電車で学校に行くのは初めてで、中学生だったころは歩いて約5分で着いていたくらい近かった。だから、こんな朝早く電車に乗るのが初めてだって言える。それに、違う市外に勉強をするのが初めてである。ですから不安でいっぱいで、ちゃんと女子高生として過ごして行けれるのか?ちゃんと友達ができるのか?疑問のあまり緊張してきた。周りをまた見回したら人が多いことに気がついた。こんなにも朝早いのに電車が人でいっぱいで、ほとんど作業着や学生服をした人が多い。私もこれから3年間、この人達のように朝早く電車を乗るようになってくる。私の住んでいる市は小さくなく、ちゃんとした高校もあったが、親達が私が小さな頃からある『画家』になる夢を優先してくれて、私たちが住んでいるところから近い大都市にある高校の入試を受けさせてくれた。私は別に美術を専門する高校でも良かったけど、彼らが何円でも金を出すし、私を応援するし、私なら受かるって優しいことを言ってくれたから、受けることにした。その結果はご覧のとおり受かった。受かった時には母上が泣き始めて、私と父上は抱きしめていたと学校に着くまで思い出しながら待っていた。

高校に付いた時に白くって広く桜が周りに囲むように多く並べてあった建物を目にした。これが私がこれから通う高校なの!?驚きのほど、信じられなかった。でも間違いなく私の高校だった。私と母上が立っていた正門の前にちゃんと大きな学校名を書かれた看板が立っていたし、私と似たような制服を着てその建物に入っていた人も多くいたからだ。緊張で心がドキドキとなりながら私は胸元に手を起き『君ならできる。』と自分に心の中から言い聞かせていく。隣で母上も驚いた感じで、校舎を見つめていた。『写真取ろうと。』と母上が呟きのように言い、私の方にカメラを向けた。『はい、ポーズしてー。』と彼女が言いつつ私の顔が熱くなってきてまた真っ赤になっているの間違いない。緊張のあまり小さな笑顔でカメラの方を見た。母上は何枚かの写真を撮影しながら何かを呟いていた。


母上と離れ、クラスを見に行った時に【一年一組十番鈴木春美】とある紙に書かれてあった。私はその教室に向かいながら緊張していた。

教室前に着いた時に後ろのドアから教室に入った。私以外に多くの人がもう座ってるなり、喋ってるなりしてざわついていた。自分の席を分かるために黒板の方に目を向けた。2列目の奥の席だ。私はその先に行って座った。先生がまだ来ない様子だからバッグからスケッチブックを取り出して絵を描き始めた。すると隣からある低くい声が聞こえた。『よろしく』そう言ったのは、黒い髪をした男性だった。急に声をかけられたからすぐには言葉を返されなかった。『よ、よろしくおねがいします!』と緊張のせいで噛んだし、大声で言ってしまった。

先生が話した後、体育館に向かった。入った時に驚くほどに広く、私が映れるくらいな床で新しく建てられた学校のように思ってしまう。私の言われた通りの席に座り、姿勢を正して入学式が終わるのを待った。

入学式が終わり、皆自分達の教室に戻った。それから新入生オリエンテーションも終わった。

高校から家に付き母上から教室やクラスメイトなどについて聞いてきた。
でも今日はアニメに出てくるサブキャラクターのように存在感がなかった教室で過ごした1日だった。

2、3人の人に声かけられたけど、ほとんどは『よろしく』やら、『どこ中なの?』、『名前何?』など、聞かれて来ただけだった。話を続けようと意識もしてくれなくって、ちゃんとした会話はできなかった。自己紹介でも緊張で慌ててしまい、ちゃんと話せなかった。今日は特に良いこと何もなかった。友達もできなかった。知っていた人も誰一人いなかった教室。これからは1人ぼっちで高校生生活を送っていかなければ行かないのか?仲間外れにされるかな?私は初日にいい印象だったかな?明日は友達できるかな?など、不安で不安で一日中それが頭から離れないまま1日が終わってしまったのだった。

昨日思った通り誰も私に話しかけてくれない。話しかけようとしたが私の話が他の人から急に切られたり、声が聞こえなかったりしたから諦めて今はただ携帯をいじって1日が早く終わることを望んでいる。クラスがざわついていて、ちょっとイラつく。ガン! 急にある男性が私の机に思いきりぶつかった音だ。『わぁ!』私は驚いて思わず声を上げてしまった。『ごめん。』と彼は興味なさそうに言い、また教室内で友達と走り回っていた。『大丈夫?』とある短くって黒い髪をした女性が私の前に立って言った。『だ、大丈夫ですよ。』私はそう答えた。『あぁ、まだ君と話していなかったけ?改めて言いますね。初めまして私は村川明結。君はハルミちゃんだよね?』彼女は明るい笑顔をしながら私にそう語った。私は頭を上下に動かして頷いた。『下の名前で呼んでいいの?』と聞かれて『いい、、、よ。』と答えた。『じゃ、ハルミちゃんね。電話番号教えてよ。』優しく、なめらかな声で言われた言葉が私のざわつきを落ち着けた。

入学式からはもう1週間立っている。私は明結ちゃんと電話番号を交換して以来、毎日話すようになって、いつでもどこでも一緒にいる。残念ながら明結ちゃんは、28番で私は9番だから席が遠い。席替えまでは3週間はある。でもこの1週間で明結ちゃん以外にも他の友人ができた。伊東香里ちゃん、中島沙羅ちゃんと鈴木日菜ちゃん。この1週間で友人が4人もできて、これまでに喋った人、短い会話も含んでだいたい10人だ。初日の時は、ただ運が悪かっただけか、自分から声をかけなかったせいだ。こんなにも仲良くできる人がいる教室。家にいるように心地がいい。思ったよりも悪くない。逆にとっても良い。楽しいし、画家になる夢も叶うかもしれない。これは絶対に運命の仕業だと思う。この3年間で、もしかすると今まで会えなかった人と出会うかもしれない。その人が私の運命の人かもしれない。私は初恋をするかもしれない。小さい頃から憧れていた運命の人、いつまでも2人で幸せにいつまでも一緒でいる私の親たちのような、そういった『本当の愛』に憧れている。もしも、この3年間で運命の人に合わなくっても楽しい女子高生生活を送れたらそれでいいのだ。
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