幸せを噛み締める私たちは
七瀬舞side

「おはようございます。香澄さん、瑠夏さん」

「おはようございます」

2人と挨拶を交わすと後ろから神原くん、氷室くん、院瀬見くんがこちらに来る

「今日はよろしくお願いします」

「そんなに固くなくていいよ。周りに人は居なし」

院瀬見くんがにこにこして言う

これが本当の笑顔、、、?

「あぁ、そうでしたね。」

私も同じようにニコッとして返す

「あ、バス来た」

瑠夏の向く方向を見ると3台のバスがこちらに向かって来ていた

、、、、あれに乗るのか

バスの車体にはうちの学園名が刻まれていた

うちの学園はバスまで所持してんだ、、

みんな当たり前かのようにバスに乗り始める

私も同じよう乗り込むと中も想像以上の豪華さだった

え、なんか部屋が沢山ある、、

リラックス出来そうな座席に1列1列個室になっていた

うちの、中学こんなバス乗ったことなー、、

「舞、乗らないの、、?」

瑠夏の小声でハッとする

「ううん、乗る乗る」

変に思われないように笑って返事をする

冷静を装って自分の席に行くと月くんが既に座っていた

静かに扉を閉めて席に着く

中は外の音を全て遮断していて部屋は静かになる

き、気まず、、

チラチラ横を見ると外の景色が動き出した

こんなの数時間も持つ気がしない、、

自分の手元を見て考える

なんで、私こんな学校入ったんだろ、、

まぁ、考えても仕方ない

いつもみたいに馬鹿みたいな事考えよ

、、、、にしても、顔がめちゃタイプなんだよなー

うちの元推しの顔にちょー似てる

「僕の顔に何か付いてる、、?」

キョトンとした顔で見られる

やばっ、流石に見過ぎた、、

「いっ、いや、全然付いてない!むしろめちゃ綺麗!」

いきなり過ぎて変な言い方になった、、

「ふふっ、何それ」

いやいや、笑った顔もカッコイイとか反則じゃん、、

面食いの私としてはきつい環境だ、、

視線を下に逸らすとあるキーホルダーに目が行く

「あっ、このキーホルダー、、」

思わずに手に取って見てしまう

「月くんって、この人好きなの?」

ボタン程の大きさの黒の丸い形をしたものに青色の薔薇の絵が描かれている

「、、、あぁ、それは、人から預けられた物だよ」

「そうなの?」

でも、これ100個限定の物なのに

「舞さんはその人知ってるの?」

知ってるもなにも、、この人は私の元推しのグッズだ

「、、ううん、それ友達が少し知ってて」

私も昔それ持ってたな

「そうなんだ」

結局どこにやったんだっけ、、、

思い出せないな

キーホルダーをじっと見つめながら少し昔を振り返る

あぁ、そうだ、、あの日私はこのキーホルダーと共に全て捨てたんだ

また、嫌なこと思い出した

いつまで私は、過去にとらわれ続けるんだろう

捨てたはずなのに、私の記憶からはずっと残り続けている



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