幸せを噛み締める私たちは
柊香澄side

「チッ、、」

「そんな、あからさまに舌打ちしないでよ〜」

ガチなんで、こいつの隣の席なの、、

「ねぇ、私ちゃんと振ったよね?」

「そーだね〜」

窓の方を見ながら何故か笑顔で返答される

「なら、付きまとわないでよ」

今回の席決めだって絶対こいつが仕組んだはず

「んー、、それは無理かな、、」

「はぁ?なんでよ」

「義務があるから?」

首を傾げて自信満々の顔で言われる

「ぎ、む、、?」

「、、、、。」

こいつ、話通じな〜、、

肘をついて目を合わせずに話し始める

「はぁ、そんなの、こっちからしたら知らないっつーの」

「ふふっ、そうだね」

笑った顔を見て思わず呟く

「、、、顔だけいいのもっとムカつく」

「え?俺顔良いの、、?」

地獄耳め、、

「顔だけ。それ以外最っ悪だから」

「新学期はもうちょっと性格いいと思ったから最悪だった人の気持ちにもなってよ」

とんだ、猫被り野郎め

「、、俺のこと認識してた」

「はぁ?同じクラスなのに認識してないはず無いじゃん。馬鹿にするのもいい加減にしてよ」

「いや、全然馬鹿になんかしてないよ、、ただ、俺のこと知らないと思ったから」

「意味わかんな、、」

言い返そうと横を向くと言葉に詰まった

「なんで嬉しそうなのよ」

「い、いや、嬉しいでしょ。認識されてないかと思ってたから」

「ふっ、、ふふ、、あははっ」

やばい、おもろい、、

我慢しようとしても笑いが止まらない

「な、なんで笑ってるの、、?」

「いやだってさ、、ふふっ、いつも変わんない笑顔振り撒いてる奴がめちゃ戸惑ってるの笑うしかないでしょ」

あの顔まじ面白い、、

「俺ってそんなに表情変わんなかったっけ?」

「変わんないよ。いつもニコニコしてるなーって思った」

今思うと、真顔見た事ないかも

「ほら、こーやって」

指で口角をグイッとあげてみせる

「笑う時ぐらい自由に笑いなよ」

「ッッ、、」

「ぷっ、、変な顔」

パッと手を離しビシッと指をさす

「でも、私はあんたと付き合う気なんてさらさら無いから。」

「ただ、友達くらいならなれそう」

「、、、ほんと?」

「あ、別にならな」

「なるなる!!なりたい!」

「うるさいなあ、、」

思わず耳を塞ぎたくなる

「やった、、、」

横目で心底嬉しそうな顔をとらえる

「皆の前では苗字さん呼び敬語でよろしく」

「うん。もちろん。よろしく香澄!」

幼ない少年のように笑う顔をじーっと見る

こいつ、いつかボロが出そうだな、、

窓を見ると満点の青空に君の笑顔が目に映った

あの人に、凄く似てる

そう、ふと懐かしさと楽しさを思い出した
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