幸せを噛み締める私たちは
「コーンコーンカーン」
お昼のチャイムがなる
「香澄。今日一緒にお昼食べる、、?」
瑠夏が声を掛けてるくれる
「柊さん、今日一緒にご飯食べませんか?」
お弁当袋を持った女子数名が目の前に来る
チラッと瑠夏を見ると目でまた今度と伝えていた
「えぇ、一緒に食べましょ」
アイコンタクトで瑠夏に謝る
明日なら一緒に食べられるかな
「先に用事があるので先に食べていてくれる?」
「もちろんです!」
旧校舎の方に歩いていく
少しボロいけど私はここがなんだかんだ好きだ
「はぁーー、、」
なんか顔の筋肉つってる気がする、、
敬語も疲れる
たまにこうして息抜きをしないとお嬢様なんてやってらんない
「授業中馬鹿眠いし。クラス委員の仕事きついし。面倒事押し付けすぎ。私はあんた達の駒じゃない。うざい。」
「はぁ、、どっかに飛びたい、、」
ブツブツ呟きながら何とか自分を保とうとする
なにもかも嫌、嫌い、辞めたい
「ほんっっと最悪」
「何が最悪?」
「っっ、、!」
反射的に後ろを振り返る
「氷室くん、、どうしたの、、?」
震える手を抑え込む
今、聞かれていた、、?
「いや、無理があるでしょ」
手の震えが収まる
「何が目的?」
互いに見つめあったまま時間が流れる
「この音声を使って私を貶めるつもり?それとも親でも揺すってお金でも取る?退学にでもする?」
どうやってこの人の口を塞ごう
このまま情報が流れたら私が危ない
どうしたら、、
「ならさ、俺と付き合って」
「は、、?」
にっこり微笑み片手にスマホを突きつけられる
壊れかけた窓の隙間から
季節外れの桜の花びらが1つ舞う
「い、嫌」
私は大勢の人と話したい
1体1はいや
まるで私を見透かされているようで
「絶対にいや」
掠れた声で言い残す
「いいのー?これいつでも使えちゃうよ?」
後ろを振り返る
少しでも私の心を読まれぬよう
弱さが分からぬように
「ゲス野郎め」
嘘を吐く
「柊さん遅かったですね」
「少し委員会の仕事が入って」
「そうですよね!なにせ、生徒会の副会長とクラス委員も務める。あの時の演説感動しちゃいましたー」
1人の女の子が興奮したように話す
「あの演説涙出ちゃいますよね、、」
入学してまだ数ヶ月
既に私はある意味クラスで浮いている
この期待や、褒め言葉
はっきり言って、私には重圧でしかない
世の中には誰にも期待されない、褒め言葉なんて貰ったことなんてない人なんているのに贅沢かもしれない
だけど、私はただ、、ただ、、
「特別」なんてなりたくない
普通になりたい
空気のように過ごしたい
「ありがとう。お陰で今楽しく学校生活を送れているわ」
まぁ、そんなこと叶うわけないけど