天才外科医は仮初の妻を手放したくない
病院船
雫の誘拐事件から1年後。
雫はもう1歳半になろうとしている。
少しずつ言葉も話すようになり、ますます可愛くなって来る。
「陽斗さん、準備は出来ています。さあ、出発しましょう。」
今日は陽斗さんが以前から計画していた、民間の病院船のお披露目だ。
今回はテストコースとして実際に離島へ向かうのだ。
勿論最初の行き先はあの診療所のある島にしたのだ。
特別に私と雫も招待されて、一緒に乗船できるのだ。
雫は船に乗るのが初めてだ。
「お船がカッコイイ」と大喜びなのだ。
今回はマスコミにも乗船してもらっている。
早く皆に知ってもらうためにも宣伝が必要なのだ。
東京湾を出て少しすると富士山が見えて来たのだ。
雫は富士山を見るのも初めてだ。
「あーーーふじさん、大きい。」
本でしか見たことの無い富士山に大満足の雫だった。