天才外科医は仮初の妻を手放したくない
陽斗に向かって日下部が声を出した。
「西園寺先生、これが先生のおっしゃっていた離島でも皆が受けられる最先端医療の形なんですね。」
「あぁ、まだ未完成なところはあるがが、だんだん形になって来たよ。」
藤村も目を輝かせた。
「西園寺先生は本当に素晴らしい先生ですね。先生の理想は僕も共感できます。」
日下部が思い出したように声を出した。
「この船でもう検査は可能なんですか?」
「あぁ、もう実際に使えるぞ。」
「実は一人ずっと体調がすぐれない人がいて、たまに胃が痛いと言っているんです。この船で調べてもらえませんか。」
日下部の申し出で、実際の患者を検査することとなった。
彼女はまだ30代の子供がいる女性だった。
最近、ずっと食欲がなく、たまに胃が痛むと言っている。