天才外科医は仮初の妻を手放したくない
理久と真由の結婚式の帰り、もう少しでマンションに着こうとした時だった。
珍しく陽斗に大久保から電話が入ったようだ。
「大久保…どうした。患者か?」
すると大久保は仕事のことでは無いと言っているらしい。
これから私と陽斗の二人ですぐに来て欲しいと連絡だったのだ。
場所は私達のマンションとそう遠くない場所だ。
私達は方向を変えて、指示された店に向かったのだ。
店に着くと、大久保がヒラヒラと手を振っている。
ふと大久保の隣に目を移すと、見たことのある美人が座っていた。
整形外科医の早乙女真理だ。
陽斗は二人に向かって声を掛けた。
「なんだか不思議な組み合わせの二人だな…どんな関係?」
大久保は陽斗を真っすぐ見た。
「実は早乙女に俺の子供が出来たんだ。」
陽斗と私は一瞬理解できずに固まったが、それはすぐに驚きに変わった。
「お前達、いつから付き合ってたの?」
陽斗の問いに早乙女が応える。
「別に付き合っていないわよ。」