天才外科医は仮初の妻を手放したくない
森本が部屋を出た後、陽斗は私の方を見た。
「澪、悪かった…眠らされてるとはいえ、許されない事だな…」
私は陽斗に向かって抱き着いたのだった。
そして、森本がキスした唇を持っていたタオルで拭き取ると今度は自分で陽斗にキスをした。
陽斗は少し驚いている様子だ。
「私は嫌なんです…あの子が陽斗さんにキスもしていたし…いろいろなところをべたべたと触っていたんです。」
「ごめん…澪。」
私は陽斗に抱き着いて泣いてしまったのだ。
これではまるで子供だが、どうしても許せないのだった。
「陽斗さんは、私の陽斗さんなのに…あの子が…」
私の涙を見て、陽斗は私を引き寄せて口づけた。
その口づけは角度を変えて何度も繰り返されたのだった。
まるで私を安心させるかのように何度も何度も繰り返された。
「澪、俺はお前だけを愛している…この気持ちに嘘は無い。」
陽斗はそのまま私を押し倒したのだった。