天才外科医は仮初の妻を手放したくない


翌日、ここで勉強会は終了だ。

しかし、解散の集まりにはもう森本の姿は無かった。

男性3人は何があったのか分からず怪訝な表情をしているが、特に追及する者は無かったのだ。



病院バスでの勉強会を終えた私達は家に戻るために歩き出した。

すると、道路脇のバス停のベンチに一人の女の子が座っていたのだ。

女の子は森本さんだった。


私は心配になり彼女に声を掛けた。


「森本さん…大丈夫?」


森本さんは私達の顔を見ると、少し恥ずかしそうな表情をした。
なんだかんだ言っても、まだ大学生なのだ。


陽斗が森本さんに話し掛ける。

「森本、お前がしたことは許されない事だぞ…ハッキリいて犯罪だ。ただ、どうしてあんなことをしようと思ったんだ…理由を教えて欲しいな。」


すると森本は小さな声で話を始めた。


「私ね…今付き合い始めた彼氏がいるんだけどね、私とエッチするときに初めてだって言ったら、面倒くさいから、どこかで処女を捨ててこいって言うの…だから…どうせ捨てるなら、好きな西園寺先生が良いって思ったの…ごめんなさい。」


陽斗は森本の頭に手を優しく置いた。


「はっきり言って悪いけど、初めての子が面倒なんていう男とは別れた方がいいぞ。まあ、人それぞれ考え方があるが、本当に愛している女性だったら、自分が初めてだと思ったら嬉しいと思うけどな…先生は少なくともそう思うよ。」



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