天才外科医は仮初の妻を手放したくない


気が付くとここは病院のようだった。

私の手をしっかりと握っている陽斗がいた。



「あの…私…どうしてここに?」


すると、陽斗が頭を優しく撫でながら話をしてくれた。



「澪はスーパーの階段で誰かに押されて落ちてしまったんだ。無意識かも知れないが、お腹を庇ったので頭を強く打っている。
幸い今のところ頭の中に出血は無いようだ。ただ、脇腹を損傷しているのでお腹の子も危ないんだ。だから澪が気づいたらすぐに手術をする予定だったんだ」


少しずつ思い出して来たことがある。

私は買い物に行って階段で転んだことを思い出した。



「澪、これから俺が澪を絶対助ける。だから頑張ってくれるかい?」



「私は陽斗さんを信じています。私を助けてください。お願いします。」


陽斗は静かに頷くのだった。



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