天才外科医は仮初の妻を手放したくない

手術が始まり私は麻酔で眠らされた。



私は広い草原に立っていたのだ。

そこには天使のような男の子が笑顔で嬉しそうに飛び回っていた。


男の子は私に向かって、ママ、大丈夫だよ!と言っているようだ。

とても気持ちの良い草原には、花々も咲いている。


ここは天国なの?私は死んでしまったの?

男の子は大きく首を振ってママ、また後で会おうねと言ってどこかに消えてしまったのだった。



「澪…澪…」

私を呼ぶ声がする。

私はゆっくり目を開けて見た。


そこには心配そうな陽斗の顔が見えたのだった。


「私、生きていたの…死んでないよね…」


陽斗は私に大きな声をあげた。


「澪…大丈夫だ…俺がお前も、お腹の子供も助けたぞ…安心してくれ。」




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