天才外科医は仮初の妻を手放したくない
陽斗と私が出会ってもう20年。
陽斗は50歳を過ぎている。
私も40を過ぎてしまった。
そんなある日、陽斗は何かを決断したように私に話をしたのだった。
「澪、ずっと前から考えていた事なんだけど、島にある診療所で老後はゆっくり暮らさないか?」
私は驚いたがすぐに返事をした。
私も同じ考えだったのだ。
あの島での暮らしはとても温かくて素敵だった。
「私はもちろん大賛成です。」