天才外科医は仮初の妻を手放したくない
それから一年後。
子供達はもう一人で暮らせる歳になり、それぞれ都会で頑張っている。
私達は島の診療所で忙しい毎日を送っていたのだ。
陽斗の政策で、週に何回か病院船も来るので、最先端の医療も提供できるようになっている。
日下部君と藤村君はもう大学病院に戻ってしまったが、週末は診療所を手伝ってくれている。
「はい、次の方どうぞ!」
私は受付に復帰したのだ。
毎日忙しいが活気がある毎日だ。
「澪ちゃん、子供が熱を出したのよ…診てもらえる?」
「まぁ、大変。先生をすぐに呼んできますね。待っててくださいね。」