天才外科医は仮初の妻を手放したくない
「澪、そんなに辛い思いをしてまで、あいつの所にいる必要は無いだろ。」
「・・・・・」
自分でも分からなくなっていた。
なぜ、私はこんなにも苦しくて辛いのか。
「あいつは結婚が決まっていたのに恋人がいたってことか…同じ男として最低だな。」
さらに理久は真剣な表情で私を真っすぐに見た。
「澪、俺は澪を悲しませたりしない。…ずっと前から…俺は澪が好きだ。これは妹としてじゃない…女性として愛している。」
理久の突然の告白に驚き、声が出ない。
ずっと兄のように思っていた理久からの告白にどうしてよいのか分からなかったのだ。
「もうあいつの所には帰るな…一緒に帰ろう。」