天才外科医は仮初の妻を手放したくない

今日は陽斗さんがお休みの日。

先日約束したお買い物に一緒に出掛ける予定だ。
近所のスーパーマーケットでお買い物をすることにした。

スーパーに付くと、陽斗は目を丸くして驚いている。
コンビニには行ったことがあるが、なんと陽斗はスーパーでの買い物が初めてだったのだ。
考えてみたら、西園寺家の御曹司である陽斗が、自分でスーパーに買い物に行くことなんて無かったのだろう。

「澪、すごいなぁ、なんでも売っているんだな。野菜も魚も肉もすべて揃うなんて便利だな。」

スーパーのショッピングカートの籠を乗せて準備すると、陽斗はそれも目を輝かせていた。
とても興味がありそうなので、陽斗にカートを押してもらう事にした。

なぜかスーパーのカートが陽斗が押すとおしゃれに見える。
周りにいた女性達も陽斗を見て頬を赤くしている。
どこにいても注目を浴びそうである。

カートを押しながら、まずは野菜売り場だ。

「陽斗さん、キャベツを一つお願いします。」

「うん、これで良いかな。」

陽斗は適当にポンと籠にキャベツを入れた。
私は慌てて陽斗に声を掛ける。

「陽斗さん、キャベツも選んでくださいね。」

「え…選ぶっていっても、どんなキャベツが良いんだ?どれも同じように見えるけど。」

「鮮度の見分け方としては、芯の切り口が新しくて綺麗なもので、巻きが固くて重量のあるものが良いみたいですヨ。」


すると、陽斗は私を尊敬するような目で見た。

「澪、すごいな。物知りで驚いたよ。」

「ふ…普通ですけど。」


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