天才外科医は仮初の妻を手放したくない

その日から日下部君は住み込みで仕事をしてくれることになった。
当分の間は診療所の休憩室に使っていた部屋で寝泊まりしてもらう事になる。

日下部は陽斗のアシスタントとして一生懸命勉強しながら医師の仕事も手伝ってくれる。
難しい患者は陽斗に相談しながら診察を進めるようにした。

それから数日後、今日は陽斗が注文していた新しい検査機器が届いたのだった。

陽斗は日下部に声を掛けた。

「日下部君、この検査機器は新型の超音波なんだ。小型だけれども以前の物より性能はだいぶ良くなっているんだ。」

「先生、これからはだいぶ診察が楽になりますね。」

「あぁ…これで診察も捗るはずだ。」

そして、これは大久保が話をつけて来てくれたことだと聞いたが、ドクターヘリのある大学病院が連係をしてくれると申し出てくれたのだ。
これで手術が必要な患者を、いち早く大学病院へ運ぶことが出来るようになったのだ。

だんだんとこの島の医療が充実してきている。

以前は救急車も無いし、大きい病院に行くには船で出なければならなかったのだ。
しかし、今ではドクターヘリが患者を早く大きな病院へと運ぶことが出来るのだ。

陽斗は小さな診療所や地方の医療に関心を持ち始めていた。
まだまだこれでは足りないと思っていたのだった。

しかし、島の人達は陽斗が来てくれてから、島の暮らしが快適になったとても喜んでくれている。


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