天才外科医は仮初の妻を手放したくない
「…澪、おはよう。」
陽斗の口づけで目が覚めた。
昨日は陽斗と愛し合ったまま、いつしか私は眠っていたようだ。
突然、昨日のことを思い出して恥ずかしくなった。
私は布団にもぐり隠れて挨拶をした。
「は…は…陽斗さん…おはようございます。」
そんな私を見て陽斗はクスクスと笑っている。
「澪、今さらそんなに恥ずかしがらなくても良いだろ、昨日はあんなに可愛い声出してくれたのに。」
「陽斗さん!恥ずかしい事を言わないでください。」
「ごめんね、澪が可愛くていじめたくなってしまうよ。」
陽斗は私が被っている布団から唯一出ている額にキスをした。
陽斗が甘すぎて溶けてしまいそうになる。
「澪、悪いけど今日から少し忙しくなる。帰りが遅くなるかも知れないよ。」
「…はい。私のことは気にせずにお仕事を頑張ってくださいね。」
陽斗は早速、次期当主になる準備で忙しくなるようだ。
しかし、私も陽斗の実家に呼ばれているのだ。
陽斗のお母さんからの嫁教育が待っているのだった。