天才外科医は仮初の妻を手放したくない

子供の怪我というトラブルはあったが、パーティーは無事に終了。

しかし、翌日ネットなどの情報を騒がせたのは、陽斗と私が子供を救護した記事だった。

見出しには『西園寺陽斗の妻が子供を助けた。』となっているではないか。
先にその情報を知った陽斗から連絡が来た。

「澪、大変だぞ、澪の人気が急上昇だ。」

子供を助けたいという気持ちが無意識であの行動をとっただけなのだ。
そんな風に書かれると、なんだか恥ずかしい。

陽斗のお父さんからも、よくやったとお褒めの言葉を貰ってしまったほどだった。

その情報は遠い島の診療所にまで届いていたようだ。





「陽斗さん、一週間もお休みをとって大丈夫なのですか。」

「あぁ…今まで頑張ったから、無理を言って休みをもらったんだ。」


今、私達は島の診療所へ向かっている船の上だ。
日下部との約束通り、陽斗と旅行も兼ねて島に行くことにしたのだ。




< 83 / 141 >

この作品をシェア

pagetop