天才外科医は仮初の妻を手放したくない

新しい診療所へ



「西園寺先生、澪さん、お久しぶりです。」


島に着くと、日下部が笑顔で迎えてくれた。
日下部の変わらない笑顔にホッとする。

島を歩いて診療所まで向かう途中に、島の人達が私達の訪問を聞いて駆けつけてくれていた。
皆は温かい笑顔で迎えてくれている。


「先生!澪さん!こんにちは。」


診療所に着くと、新しく新任の医師が診察をしているところだった。
私達は診察の邪魔にならないように、休み時間まで懐かしい島を散策することにした。


「おーい、先生!良く来てくれたなぁ!」


次に声を掛けてくれたのは、以前に心臓の手術をした、田中のじいちゃんだ。
とても元気そうに手を振っている。


「田中のじいちゃん!体の具合はどうかな?」


陽斗の質問に、じいちゃんは満面の笑みで答えてくれた。


「病気になる前より元気なくらいだよ。先生には感謝しとるよ。」


陽斗もうんうんと頷きながら嬉しそうである。



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