天才外科医は仮初の妻を手放したくない

私達の子供は“雫(しずく)”と名付けられた。

陽斗は私によく似ていると言うが、この整った顔は陽斗に似ていると思っている。
私よりも陽斗に似ていればきっと美人になるはずだ。


陽斗は忙しい時間の合間に、パパの育児教室に通い始めた。
先生は陽斗をみると、顔を赤くして緊張するようだ。
イケメンからイクメンに変わってもカッコ良いことには変わりないのだ。

さすがに西園寺の当主を継いだばかりの陽斗が、長期の育休を取るのは難しい。
それでも2週間のお休みをすることが出来たのだ。

育休を取得する話をした時に、陽斗の秘書たちは少し眉をしかめたそうだが、最終的には協力して休みを取らせてくれたそうだ。
陽斗の秘書さん達に感謝だ。


陽斗は何をやっても器用に上手にやってしまう。
おむつを替えるのは、すでに陽斗が上手になっているくらいだ。

もちろんお風呂もお手の物だ。
私はだいぶ助かっている。



陽斗は朝起きると、私と雫の額にキスを落とすところから一日が始まる。


「おはよう。澪、雫。」


雫はパパにキスされるのが大好きなようだ。
キャイキャイと喜んでいる。

その笑顔を見ながら、陽斗は雫にボーイフレンドが出来たらどうしようと今から心配しているようだ。
本当に溺愛がすぎるパパなのだ。




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