天才外科医は仮初の妻を手放したくない
ここは小さな教会のチャペル。
今日はここに私の大好きな人たちが集まってくれている。
今日は私達の結婚式だ。
雫が6か月になりそろそろ結婚式に参加できるだろと陽斗が準備してくれたのだ。
お父さんお母さん、もちろん陽斗のお義父さんお義母さん、幼馴染の理久とその彼女である真由ちゃん、外科医の大久保さん、遠くから駆けつけてくれた日下部君、西園寺家の村瀬さん、SPの北条光莉さん、他にも学生時代の友達など沢山の人が参列に来てくれた。
お父さんとお母さんは雫と初対面だ。
お母さんは雫を抱っこすると涙を浮かべて喜んでくれた。
お父さんも目を細めて溶けそうな表情をっしている。
陽斗さんのお義父さんお義母さんは、何度か雫に会っているが、最近では以前のような威厳はどこに行ってしまったと思うほどにメロメロになっている。
孫は本当に可愛いらしい。
雫も真っ白なドレスのベビー服と、頭には花で作った飾りを付けている。
ウェでイングドレスの私の隣には、真っ白なタキシードが眩しい陽斗さん。
お父さんもお母さんも、私の姿を見て言葉を詰まらせるほどに喜んでくれた。
誓いの口づけ。
指輪の交換。
今回は偽りではなく本当の誓いだ。
「澪、やっと本当の結婚式ができたね。」
「陽斗さん、ありがとうございます。」