天才外科医は仮初の妻を手放したくない
私が振り返ると、そこに居たのはパパの育児教室で先生をしている女性だった。
「あっ先生、こんにちは。」
「私はパパの育児教室を担当している、萩原と言います。お一人でお買い物ですか?」
「はい、今日から主人は出張なんです。」
「あら、それは寂しいですね。」
私はこの時油断していたのだった。
陽斗が出張という事は、周りに言うなと言われていたのだ。
しかし、この人は幼児教育の先生なので問題ないと思っていたのだった。
スーパーマーケットに萩原も向かうところだと言っていたので、一緒に向かう事にした。
萩原は物腰が柔らかく、とても優しい雰囲気の女性だ。
話も楽しく意気投合したことから、一緒にカフェへ行こうと誘われた。
私は何かを断ることが苦手なのだ。
気が進まないが、一緒にカフェへ行くことにしてしまった。