天才外科医は仮初の妻を手放したくない
話を聞いて村瀬はすぐに動き出した。
「パパの幼児教室に電話をしたのですが…今日付けで萩原は退職しています。」
私はその場で崩れ落ちるように床に膝御着いてしまった。
村瀬は冷静に言葉を出した。
「とりあえず、警察に行きましょう。それと陽斗ぼっちゃまにも連絡をするべきです。」
私はなんという事をしてしまったのだろう。
雫にもしもの事が有ったらと思うと、心臓が止まりそうになる。
そして、村瀬は何か思い出したように昔のアルバムを持ってきたのだった。
陽斗が小学校時代のアルバムのようだ。
その中から一枚の写真を私に見せた。
女の子が一人、陽斗の後ろに写っている写真んだ。
「澪さん、この女の子の顔をよく見てください。その萩原という女性に似ていませんか。」
それはまだ小学生の写真だが、よく見ると気づくことがあったのだ。
萩原という女性は、右目の下に少し大きめの黒子があることを思い出した。
この女の子をよく見ると、右目の下に同じく黒子があったのだ。
「村瀬さん、この女性です。間違いありません。」