天才外科医は仮初の妻を手放したくない

話を聞いて村瀬はすぐに動き出した。

「パパの幼児教室に電話をしたのですが…今日付けで萩原は退職しています。」

私はその場で崩れ落ちるように床に膝御着いてしまった。

村瀬は冷静に言葉を出した。

「とりあえず、警察に行きましょう。それと陽斗ぼっちゃまにも連絡をするべきです。」

私はなんという事をしてしまったのだろう。
雫にもしもの事が有ったらと思うと、心臓が止まりそうになる。


そして、村瀬は何か思い出したように昔のアルバムを持ってきたのだった。
陽斗が小学校時代のアルバムのようだ。

その中から一枚の写真を私に見せた。

女の子が一人、陽斗の後ろに写っている写真んだ。


「澪さん、この女の子の顔をよく見てください。その萩原という女性に似ていませんか。」


それはまだ小学生の写真だが、よく見ると気づくことがあったのだ。

萩原という女性は、右目の下に少し大きめの黒子があることを思い出した。

この女の子をよく見ると、右目の下に同じく黒子があったのだ。


「村瀬さん、この女性です。間違いありません。」



< 97 / 141 >

この作品をシェア

pagetop