一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
「……本当にごめん。杏の気持ちが落ち着くまで、しばらく別々に寝よう」
「いえ、そこまで怖かったわけじゃ……!」
「俺も、杏が同じベッドにいたらまた我を忘れてきみを求めてしまうかもしれない。きみを大切にしたいのと同じくらい、全部自分のものにしてしまいたいと思う気持ちもあるんだ。……こんなに独占欲が強いなんて、自分でも初めて知ったけどな」
柊二さんがそう言って、自嘲気味に笑う。独占欲をよくないもののように語っているけれど、私はうれしかった。
本音を言えば、全部彼のものにしてほしい。でも、そうするには勇気も経験も足りないから……本当は同じベッドで眠りたいことすら、結局口にできない。
「……私も早く心の準備ができるように、努力しますね」
「ありがとう。でも無理だけはするなよ。俺ならいつまででも待つから」
大人の余裕を感じさせる彼の発言が、今は少し切ない。待たせているのは自分のくせに、なんて勝手なのだろう。
柊二さんと一緒にいると、なぜだか自分の醜い部分ばかりが見える気がして落ち込む。
こんな時は、そう……あれだ。