院内夫婦の甘い秘密~恋と仕事と、時々魔法~
俺は調査書を破り捨てたい衝動をこらえ、ぺらぺらと紙をめくった。
そのうちの一枚に印刷されていた写真に、ひゅっと息をのむ。
「これは……」
ピンク色のツインテール。魔法少女の服装。小柄な体型。ウィッグの前髪で目元は隠れているものの、その横顔は確かに杏によく似ている。
「服装や髪型は違うようだが、それは杏さんだろう? しかもよりによって、写真を撮られたのはラブホテルの前だ。調査員によると、腕を組んでいるその男と一緒に入ってしばらく出てこなかったそうだ」
……嘘だ。杏は俺とだって手をつなぐだけでまだ照れるのに、こんな風に自分から男に腕を絡めるなんてあり得ない。
それにラブホテルなんて、行くどころかその単語を出しただけで顔を真っ赤にするに決まってる。
……しかし、この写真に写っているのが杏ではないと、悔しいが言い切れない。
杏は以前、自宅で一緒にオトメのアニメを観ている時に、『コスプレをするとオトメみたいに強くなれる気がするんです』と言っていた。
つまり、この格好をしている時だけ性格が変わってしまう……?